AEDはどうやってメンテナンスがおこなわれているのか
従来のAEDのメンテナンスは点検担当を決め、インジケーターを目視で確認していましたがAEDに異常が見られた場合、どこに異常があるのか分からず、修理会社に頼るしかありませんでした。しかし、現在のAEDにはM2Mと呼ばれる通信手段が搭載され、機械自身が異常を判別できるようになったのです。そこで今回は現在のAEDメンテナンスについて解説します。
AEDとも関係が深い「M2M」とは
M2MとはMachine-to-Machineの略で、機械同士が情報をやり取りすることを指します。インターネット経由で情報をクラウドに送るといった機能は持っておらず、あくまでも機械同士のやり取り。現在では、広域通信網に接続する際に4Gや5Gを利用するケースもあり、,多くの通信方法があるのがM2Mの特徴です。また、M2Mは多くの分野で活躍しています。主な分野は以下のとおりです。
・リモート監視
・リモート計測
・環境
・防災
・エネルギー
・メンテナンス
・建築
・ヘルスケア
・セキュリティー
・農業
・物流
上記を見てもイメージが湧きにくいかもしれません。次に応用例を見てみましょう。
・自動販売機
・エレベーター
・高速道路
・駐車場
・コピー機
・自動検針
エレベーターでは、稼働状況や昇降回数などをデータとして収集したり、高速道路では道路上のセンサが通行量を測定しています。また、ヘルスケアでは心拍数や体温の計測し、健康管理を行うことも可能です。
IoTとの違いは?
M2MとIoT(Internet of Things:モノインターネット)との違いは「インターネットを軸に通信をしているかどうか」です。M2Mでは先程もお伝えしたとおり、インターネット上を介して通信をすることは少なく、あくまでも機械同士の通信のみです。しかし、IoTではM2Mでやり取りしている情報を収集し、クラウド上で扱うことが出来ます。
したがって、IoTのなかにM2Mが含まれていると言えます。言い換えるとM2MはIoTの一種なのです。IoTによって実現できるもののなかには、離れたモノを操作したり、センサを付けて情報を収集したりすることが出来ます。また、IoTを活用することでドアの開閉状態やペットの居場所、工場内の機械の不具合などを確認せずとも、センサが感知し「お知らせ」として通知することも可能です。
M2MでAEDの遠隔メンテナンスが可能に
AEDの異常を目視で確認する時代から、M2Mを活用し、機械自身が異常を検知できる時代になりつつあります。この見出しではAEDの一般的な点検方法と、遠隔メンテナンスについて紹介します。
■そもそもAEDとはなんなのか
AED(automated external defibrillator)とは自動体外式除細動器と呼ばれ、心室の細動で全身に血液が送れない状態を回復させる機械を指します。AEDは「高度管理医療機器」と「特定保守管理医療機具」に指定されており、人体のリスクが高く、適切な点検と管理が必要な機器となっています。操作は比較的簡単で、誰でも操作を行えるよう設計されています。皆さんも一度は、講習を受けたことがあるのではないでしょうか?点検も自動点検機能が付いており、難しい点検はありません。
■一般的な点検方法
AEDには自己診断機能が付いているため、異常が検知されれば、自動でAEDのインジケーターが点灯します。インジケーターの位置や発光色は、種類によって異なるため、事前に確認しておきましょう。一般的には正常で緑、異常で赤に発光します。インジケーターが赤色の場合には、取扱説明書で異常の原因を調べる必要があります。また、消耗品の管理もAED点検の要項に含まれます。
消耗品は主に電極パッド、バッテリーです。電極パッドは使用期限が記載してあるため、使用期限が切れていないかを確認します。使用期限が過ぎていると、粘着力が低下し、電流が体内を流れず、上手く治療できない原因になります。バッテリーは4~5年で消耗するため、期限には気を付けましょう。バッテリーが消耗していると、インジケーターがNGサインを出します。バッテリー切れの場合は、業者に点検を依頼し、交換してもらうなどします。
■遠隔でメンテナンスが可能に
M2Mは現在「AED遠隔メンテナンス運用」に力を入れています。AEDを遠隔で操作することで、パットの消耗具合やバッテリーの管理、設置位置、使用履歴などをデータとした収集し、異常があればメールで連絡が来るようになっています。AEDの遠隔メンテナンスが注目されるようになったのは、装置を点検していない設置者が多かったことでした。AEDの管理責任は、厚生労働省から設置者に依存するとされていますが、AEDのメンテナンスについてアンケートを取ったところ「点検していない」と答えた方が多かったのです。機械が自動検知し、AEDの状態を把握していることで、点検ミスでAEDが使えないなどの最悪の事態を回避することができます。
今回は、AEDにも応用されているM2Mと近年拡大している「ものインターネット(通称IoT)」について解説しました。簡潔にまとめると機械間で連絡を取り合うのがM2M、インターネット上で情報をやり取りするのがIoTとなります。M2MはAED以外にも医療現場で、より利用されるとされています。点検や管理を人間が行わない時代がくるかもしれませんね。