AEDは一回しか使えない?耐用年数や廃棄方法についても解説!
AED(自動体外式除細動器)でよく誤解されがちなのが「一度きりしか使えないのか?」という点です。実際には複数回使用可能で、心停止時に命を救う重要な医療機器のため適切なメンテナンスが求められます。本記事では、AEDの耐用年数や正しい廃棄方法についてもくわしく解説します。
AEDは複数回利用できる
AED(自動体外式除細動器)は、心停止などの緊急時に電気ショックを与えることで心拍を正常に戻す装置です。一度は見たことがあっても、多くの人はあまり知識がなく「AEDは一度使ったら終わり」という誤解を持っている人もいるかもしれません。ここでは、AEDの使用可能回数についてくわしく説明します。
AEDは複数回の利用が可能
まず、AEDは一度使用しただけで本体ごと交換する必要はありません。AED本体は耐用年数や保証期間内であれば、電気ショックの回数に関わらず何度でも使用することができます。
ただし、AEDの電極パッドは使用する度に交換が必要です。電極パッドは使い捨ての部品であり、使用後は新しいものと交換する必要があります。使用期限が過ぎた電極パッドも同様に交換が必要です。
一般的に、小学生以上用のパッドは2年、未就学児用のパッドは1年半ほどで交換時期が来るものが多いです。
AEDのバッテリーについて
AEDのバッテリーは一度の使用で寿命が尽きるわけではありません。多くのAEDバッテリーは100〜200回の電気ショックが可能な容量を持っています。もちろん使用するたびに電池容量は減少しますが、通常は1%程度の消耗に留まるため、1回の使用で交換が必要となることは稀です。
バッテリーの寿命は装着(スタンバイ状態)から4年が一般的で、機種によっては2年や5年のものもあります。バッテリー残量が少なくなるとインジケーターに表示されるため、定期的に確認し、必要に応じて交換しなければなりません。
また、AEDには充電式のモデルも存在しますが、これらはおもに消防や医療従事者向けのプロ仕様のもので、一般向けとしてあまりメジャーではありません。充電式のAEDは、いざ使おうとしたときに充電が切れているリスクがあるため、一般利用では定期的に交換するタイプが推奨されています。
AEDの耐用年数
AEDの耐用年数は、AEDを安全かつ効果的に使用できる期間を指し、メーカーが標準的な使用環境に基づいて設定されています。耐用年数は、適正な保管とメンテナンスが行われた場合において、機器が正常に機能する期間を示しています。
メーカーや機種によって長さが異なるため、購入時には必ず確認する必要があります。たとえば、日本光電が製造するAED-3100および3200シリーズの耐用年数は8年とされています。
同様に、ストライカーのサマリタンPADシリーズも8年の耐用年数を持っています。AEDは医療機器であるため、耐用年数が過ぎた後も使用を続けることは避けるべきです。耐用年数を過ぎたAEDは、内部部品の劣化やソフトウェアの古さにより、正常に機能しないリスクがあります。
そのため、メーカーが推奨する耐用年数を迎えた場合は、速やかに新しいAEDに買い替えることが必要です。とくに公共の場や多くの人が利用する施設では、つねに最新の状態のAEDを設置しておくことが、緊急時の救命率を高めるためのカギとなります。
AEDの管理者は、耐用年数を正確に把握し、適切な時期に更新計画を立てましょう。多くのメーカーは、耐用年数が近づいた際に通知を行うサービスを提供していますので、これらを活用することも有効です。
AEDの廃棄方法は?
AEDを処分するときはいくつか注意点があります。適切な廃棄を行わない場合、環境への負荷が高まり、法令違反となる可能性もあるので、廃棄ルールにきちんと従い、慎重に対応しましょう。
AED本体の廃棄方法と自治体ルール
AEDは高度管理医療機器および特定保守管理医療機器に分類され、設置場所の登録・管理が行われます。そのため、廃棄または譲渡を考える際には、購入店か製造販売業者に連絡しましょう。
多くの場合、販売店や製造業者はAEDの回収サービスを提供しており、適切な廃棄をサポートしてくれます。また、AEDやその消耗品の廃棄方法は、特定の廃棄場所や方法を指定しているなど、自治体によって異なることがあります。
廃棄を検討する際には、事前に自治体のホームページや窓口で確認するのがおすすめです。とくに、医療機器やその関連消耗品は、適切な処理が求められるため、ルールを守って廃棄しましょう。
AED消耗品の廃棄方法
AEDには、電極パッドやバッテリーといった消耗品があります。これらの消耗品は、未開封か使用済みかによって廃棄方法が異なります。未開封の電極パッドを一般家庭から廃棄する場合、不燃物として処理します。
ただし、医療機関から廃棄する場合は、未開封でも医療廃棄物として処理する必要があります。使用済みまたは使用期限切れの電極パッドは、各自治体の指示に従って廃棄します。一般的には、医療系産業廃棄物として扱われることが多いです。
自治体によっては、特別な廃棄手順が設けられている場合があるため、事前に確認しましょう。バッテリーも各自治体の指示に従って廃棄します。使用済みのバッテリーは、産業廃棄物として扱われることが多く、そのまま家庭ごみとして廃棄することは避けるべきです。
リサイクル可能なバッテリーもあるため、適切なリサイクル方法を確認することが重要です。パッド・バッテリーが一体型になった「パッドパック」もありますが、これも各自治体の指示に従って廃棄します。多くの場合、産業廃棄物として処理されることが一般的です。
まとめ
AED本体は複数回の使用が可能であり、電極パッドやバッテリーを適切に交換・管理することで長期間にわたり安心して使用することができます。本体の保証期間は通常5年間で、耐用年数は7年間とされています。この期間内であれば、使用が可能です。保証期間・耐用年数期間中も定期的な点検とメンテナンスを行い、いつでも使用できる状態を保つことが、緊急時の迅速な対応につながります。もし、AEDを廃棄したいときは、購入店や製造業者に連絡し、具体的な廃棄方法を確認しましょう。