知っておこう!AEDを使用する際の注意
使い方は電極パッドを胸に貼るだけ。誰にでも扱いやすくなっているAEDですが、いざという場合に戸惑ってしまうケースはよくあります。たとえば、傷病者の体が濡れている場合はどうすればよいでしょうか?ここでは他にもあり得る例と対処法をご紹介します。あらかじめ知っておくことで、緊急時にもスムーズなAEDの使用ができるでしょう。
傷病者の体が濡れている
傷病者の体が濡れている場合は、胸の水分を拭き取ってから電極パッドを貼り付け、AEDを使ってください。理由は電極パッドの周りが濡れていると電気が逃げてしまい、ショックを与えることができないからです。パッドを貼り付ける前に、水分をよく拭き取ってください。とっさの場合に備えてタオルを持ち歩くの?!と思うかもしれませんが、その必要はありません。AEDに付属の「レスキューキット」の多くは、タオルがセットされているはずです。
レスキューキットとは?
AEDの使用に必要なアイテムがひとまとめになったもので、操作者が手にはめる「グローブ」や衣類を切り裂く「ハサミ」傷病者に装着・使用する「マウスピース」「カミソリ」そして「タオル」がひとまとめになっています。
職場に設置されているなど、使用者になる可能性があるAED なら、あらかじめレスキューキットの内容をチェックしておくと、いざというときに落ち着いて使用できるでしょう。多くはAEDのキャリングケースのポケットに収納されています。
貼り薬が貼られている
電極パッドを貼り付ける箇所にシップなどが貼られている場合は、はがしてからAEDを使用してください。シップ以外にも鎮痛剤、ホルモン剤、降圧剤など貼り薬にはバリエーションがあり、意外と多くの方が使用しています。
貼り薬が付けられた上からパッドを使用すると、十分な電気ショックを与えることができなかったり、場合によっては貼り薬が燃えたりする危険性もあるのです。パッドを貼り付ける箇所に使われている貼り薬ははがし、残った薬剤をふき取ってからAEDを使用しましょう。ふき取る際には、レスキューキット付属のタオルを使用してください。
ペースメーカーなどが埋め込んである
医療機器が埋め込まれている場合には、出っ張りを避けてパッドを貼り付けましょう。「ペースメーカー」や「植え込み型除細動器(ICD)」は主に心臓上部に埋め込まれており、皮膚の上からだと5cm程度のコブのように見えるものです。パッドの使用には、コブを避けて貼り付けます。
ペースメーカーとは
心拍数が少ない方に使用されるもので、心筋に電気刺激を与え、必要な心拍を発生させます。
ICDとは
心室細動を感知することで、電気ショックを心臓に与えて正常に戻すもの。AEDと同じような働きをします。
体毛が濃い
パッドを貼り付ける箇所に体毛が多く生えている場合には、レスキューセットに付属のカミソリで体毛を除去してから使用してください。濃い体毛はパッドの吸着を妨げますから、十分な電気ショックを与えることができません。レスキューセットには大抵の場合、使い捨てタイプのT字カミソリが付属していますから、体毛を剃った上でパッドを使用してください。
金属製品を身に付けている
傷病者がネックレスやペンダントを身につけている場合、除去してからのAEDの使用が推奨されています。それらがパッドに接触することで、十分な電気ショックを与えられなかったり、スパークの発生で火傷などの原因になったりすることを防ぐために、金属製品は取り外してからAEDを使用しましょう。
しかしいざという場合、ネックレスの金具部分の操作はパーツが細かいだけに難しいもの。細いものならレスキューセットに付属のハサミで切れるはずですから、ためらわずに使用しましょう。
揺れている場所での使用
揺れている場所ではAEDが正常に使用できなくなります。車を停めるなど、振動が傷病者の体に伝わらないようにしてからAEDを使用しましょう。AEDは電気ショックを与える前に自動で心電図解析を行うのですが、振動が伝わってしまうと正常な解析ができなくなります。
AEDの性能も年々上がっており、外部からの振動の影響を受けにくくなっているとはいえ、振動が解析を妨げることには変わりありません。車の中で使用する場合は、安全な場所に停車するなど、AEDは可能な限り揺れていない場所で使用してください。
とっさの場合に必要になるAEDは、誰もが使用できるようになっていますが、電極パッド貼付時のトラブルは起こりがちです。典型的なケースを本記事では紹介したので、対処法を知っておきましょう。
特に大切なのはレスキューキットです。職場に設置されているなど使う可能性があるAEDなら、どこに収納されていて、どのような内容なのかをあらかじめ確認しておきましょう。AEDの使用にはあせりは禁物なので、事前に使用法を学んでおいたり、起こりうるイレギュラーを織り込んでおいたりすることは重要です。前もって準備しておくと、実際に使う場面に遭遇したときでも、冷静に対応できるようになります。