AEDの電極パッドを貼る正しい位置とは?逆になっても大丈夫?
AEDの電極パッドは、心臓と肺が停止したときに状態を解析して、電気ショックを実行する大切な役割を担っています。しかし、2枚セットになっているため、どの位置に貼るのか分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで当ページでは、電極パッドを貼る正しい位置やAEDを使用するときの流れをご紹介します。
AEDの電極パッドは右前胸部と左側胸部に貼る
2枚の電極パッドは、どこに貼るのかが決まっています。ひとつは右前胸部、もうひとつは左側胸部です。右前胸部は、右の鎖骨下かつ胸骨の右部分です。そして、左側胸部は脇下から5~8cm下を目安にします。なぜこのように細かく決まっているのかというと、心電図が計測できるからです。この位置でないと、計測できないわけではありませんが、一番計測しやすい位置になります。
素肌に貼る
電極パッドは、必ず素肌に貼ります。急いでいるとはいえ、服の上から貼っても意味がありません。まずは、素肌に貼れる状態をつくり、肌と電極パッドがしっかり密着するようにしましょう。また、貴金属類も要注意です。貴金属が挟まりそうなときは、挟まらないところに移動するか外しておきましょう。
また、一般的には服を脱がすように指導しますが、女性の場合は対応が異なります。下着をずらす程度で貼れるのであれば、まったく問題ありません。ただし、緊急時とはいえ、服を脱がされた状態や下着をずらした状態は女性にとって大変ショックを受けます。できる限り、肌の露出をさけ、隠せるものがあれば活用しましょう。
表示に従って貼る
正しい貼り位置は、電極パッドの表面に表示されています。表示を見ると貼る位置が分かりやすくなっており、電極パッド自体も色分けしているので安心です。AEDの電源を入れると、音声ガイダンスで使い方を教えてもらえますが、聴き洩らした場合は落ち着いて絵を確認しましょう。ただし、身体の小さい子どもの場合は、大人と同じ貼り方ができないかもしれません。万が一、身体が小さく同じ状態にできないときは、心臓が中心になるように胸と背中に電極パッドを貼りましょう。
右前胸部と左側胸部を逆に貼ってしまった
救命処置は、急いで行う必要があるため、どうしても慌ててしまうと思います。右前胸部と左側胸部を逆に間違えたといったミスも起こるかもしれません。万が一、このようなミスをした場合は、慌てないようにしましょう。仮に逆に貼ったとしても、救命処置に影響はないので大丈夫です。
逆に貼った場合の影響
逆に貼った場合は、心電図の見方が変わります。そもそも心電図は、微弱な電気信号を波形にするものです。逆に貼っても心電図は問題なく映りますが、波形も逆になると覚えておきましょう。万が一、貼り間違えても影響が分かっていれば問題ありません。
AEDを使用する流れ。落ち着いて使用すれば大丈夫
AEDを使用するときは、落ち着いて手順とおりに行いましょう。手順は音声ガイダンスでも流れますが、事前に知っておくとさらに落ち着いて使えます。
電源ON
AEDの電源をONにします。一般的には、ボタンを押すといったイメージかもしれませんが、機種による電源ONの方法が違うので気をつけましょう。電源ONの方法は、おもにボタン式、レバー式、蓋の開閉式の3種類です。
倒れている方の状態を診る
倒れている方が今どのような状態なのかを確認します。状況によっては、電源ONの前がいいかもしれません。確認しておきたいのは、意識があるか、呼吸しているかです。まずは、倒れている方に声をかけてみましょう。返答や反応がない場合は、軽くたたき、それでも返答や反応がない場合は少し強くたたいて確かめます。
電極パッドの準備
意識と呼吸が確認できない場合は、すみやかAEDを用意します。AED内の電極パッドを取り出し、素肌に貼りつけましょう。前述のとおり、ひとつは右前胸部(右の鎖骨下かつ胸骨の右部分)もうひとつは左側胸部(脇下から5~8cm下を目安)です。
電気ショック
電極パッドを貼りつけたら、電気ショックを行います。ただし、すぐに行うわけではありません。電極パッドを所定の位置に貼り、心電図の解析後に電気ショックを促す音声ガイダンスが流れます。その後、充電をはじめ、電気ショック開始の音声ガイダンスが流れたらボタンを押しましょう。もし、電気ショックは必要ありませんと説明された場合は不要です。また、電気ショックを行うときは、対象者に誰かが触っていないことを必ず確認しましょう。
蘇生
電気ショックの後は、蘇生処置です。電気ショック後に、音声にて心肺蘇生の指示があります。貼りつけた電極パッドはそのままに胸骨圧迫や人工呼吸をすみやかに行いましょう。万が一、心肺の蘇生処置後に改善が見られない場合は、同じ流れを繰り返します。仮に、電気ショックは必要ありませんと指示されても、意識と呼吸が確認できないときは、胸骨圧迫や人工呼吸は続けないといけません。
まとめ
AEDの電極パッドの貼る位置は、右前胸部にひとつ、左側胸部にひとつと決まっています。かりに、貼り方を忘れても電極パッドの表示や音声ガイダンスで確認可能です。また、ふたつの電極パッドを逆に貼っても心電図の波長も同じく逆さになるだけなので問題ありません。はじめて救命処置するときは、焦るはずです。いざというときのためにも、電極パッドの貼る位置やAEDの正しい使い方の流れをしっかり把握しておきましょう。