心室細動とは?AEDを駆使して救命する方法を伝授!
心室細動のような致死性不整脈による心臓突然死によって年間約7.9万人が亡くなっており、これは年齢や性別にかかわらず誰にでも起こりえることです。心室細動を理解し、実際に人が倒れているときに命を救えるようになりましょう。本記事では心室細動について、心室細動と心房細動の違いについて、AEDを用いた救急についてお伝えします。
非常にリスクが高い!心室細動とは?
心室細動は、迅速に適切な治療を行わないと死に至る危険な病気です。ここでは心室細動の説明と原因、対処方法をお伝えします。
病気の説明
心室細動とは、不整脈の一種です。心臓のなかの心室で脈に異常が発生し、心室がけいれん状態または、それに近い状態になってしまいます。心臓の中でも主な部分である心室がけいれん状態になってしまうと、心臓は満足に動くことができず、心停止と同じ状態となります。
数分で呼吸が止まってしまい、血液が循環しないので脳、腎臓、肝臓など重要臓器に障害をきたします。心室細動が起こると約10秒で意識を失い、約5分で死に至るといわれています。心室細動は致死性不整脈ともいわれ、迅速に適切な治療を行わないと死に至る可能性がある非常に危険な病気です。
病気の原因
心室細動が起こる原因はいくつかありますが、ここではそのうちでいくつか例を挙げます。心筋梗塞は、心臓への血液供給を行う冠状動脈という欠陥が閉塞してしまうことをいい、心臓の酸素、栄養が不足してしまいます。
その結果、心臓が正常に動かなくなり心室細動につながります。心筋症は、心臓の筋肉に異常が出る病気です。心筋症の一部は原因がわかっていますが、大部分は依然として原因不明です。心筋症は心室細動につながります。
対処方法
心室細動が起こり、心臓が停止してしまった場合は、迅速な心肺蘇生処置が必要です。1秒を争うものであり、救急隊が到着してからでは遅いです。直ちに心臓マッサージや人工呼吸を行ってください。AEDの使用も非常に有用です。
命に関わる不整脈!心室細動と心房細動の違い
心室細動と似た言葉に心房細動というものがあります。また、心室細動と心房細動はともに同じ不整脈であり、不整脈の中でも同じ頻脈に属しています。ここでは心室細動と心房細動の共通点と異なる点について紹介します。心室細動と心房細動に共通する細動という言葉はどのような意味でしょうか。
細動とは、本来一定のリズムで動くはずの心臓が、けいれんしてしまい不規則かつ小刻みに震え、本来の役割を果たせなくなってしまう状態をいいます。正常な心臓は、洞結節という場所から一定のリズムの電気信号が心房、心室の順番に送られ、それぞれが規則的にポンプの動きをします。
しかし、何らかの異常が起こると洞結節以外の場所で、電気信号が発生してしまいます。これにより心臓内での電気信号に乱れが生じ、規則的なポンプの動きができなくなり、不規則かつ小刻みに震えてしまいます。
これが心室で起こると、心室細動に心房で起こる心房細動になります。心室と心房はともに心臓内の血液を送り出す、ポンプ器官という重要な役割を担いますが、メインのポンプ器官は心室で補助を行うポンプ器官が心房です。
心室細動はメインのポンプ器官である心室の機能が正常に働かなくなるため、迅速に救命措置を行わないと心停止、つまり突然死につながってしまいます。心房細動は補助を行うポンプ器官である心房で起こりますが、心室細動ほどすぐ影響が出るわけではありません。
ただし、死亡リスクが高まるのは間違いありません。死亡リスクが高まる原因のひとつは、慢性心不全です。心房細動が起こり、正常に動かない心臓を何とかしようと無理をして心房が傷み、元に戻らなくなってしまうためです。
脳梗塞のリスクも高まります。心房細動が起こり、心臓が正常に動かないと心臓内で血流がよどみ、血栓ができやすくなります。心臓でできた大きな血栓が脳まで運ばれ、太い血管に詰まってしまい命に関わるような重大な脳梗塞を引き起こすためです。
救命の要!心室細動対応におけるAEDの効果的な使用法
心室細動には迅速な対応が必要でAEDが有効だとお伝えしました。ここではAEDの使い方を具体的にお伝えします。すでに救急車を手配しており、手元にAEDがあり、傷病者は大人という想定です。
最初にAEDのカバーを開けてください。「フタを開く」という表記部分を持ち上げることで開けられます。次に電源ボタンを押して電源をオンにしてください。AEDの音声に従って電極パッドを胸に装着し、電極パッドを皮膚に密着するように接着してください。
衣類を取り除き、除細動パッドを胸の真ん中に置きましょう。加速度センサ部分を抑えながら、タブを引っ張って保護紙をはがし、除細動パッドを中央から外側に向かって押さえ、しっかり密着してください。
電気ショックが必要な場合、音声ガイダンスで「電気ショックが必要です」と流れます。傷病者に体が触れていないことを確認して、ショックボタンを押し、電気ショックを行ってください。電気ショックが必要ない場合は「電気ショックは必要ありません」と流れます。
その際は胸骨圧迫を繰り返してください。救急隊が到着するまで胸骨圧迫を続けてください。できるかたのみ人工呼吸を行ってください。気道を確保して、胸骨圧迫を30回行った後人工呼吸を2回行う、ということを繰り返してください。
まとめ
本記事では心室細動がどのようなものなのか、心室細動と似た心房細動という言葉があるが心室細動とはどのように違うものなのか、人が倒れておりAEDがある場合どのように救命を行うのかということをお伝えしました。ぜひ心室細動に詳しくなり、救命が必要な場合に出くわしても落ち着いて作業が行えるような人間になってください。