心肺蘇生法とAEDの連携が命を救う!正しい手順と重要なポイント
倒れている人を発見したときに、あなたは対応できるでしょうか?いざというときのあなたの行動が大切な人の命を左右するかも知れません。そのため、万が一に備えて正しい救命方法を知っておくことは重要です。そこで今回は、心肺蘇生法とAEDの正しい手順と重要なポイントを解説しますので参考にしてくださいね。
命を救うために覚えておきたい心肺蘇生とは
傷病者を発見した場合には適切な救命処置を行うことが大切です。ここでは、心肺蘇生法について解説します。
心肺蘇生法とは
心肺蘇生法とは、病気やケガにより突然心肺停止した、もしくはこれに近い状態になった傷病者に対して、胸骨圧迫(心臓マッサージ)と人工呼吸を行うことです。これは止まってしまった呼吸と血液の循環を補助する目的で行います。
なぜ心肺蘇生法を行う必要があるのか
心臓が止まると、時間が経つにつれて助かる確率が低くなります。なぜなら、心臓が血液を送り出せない状態になると脳へ酸素が届かなくなるからです。脳へ酸素が届かないと10~15秒で意識が失われ、3~4分後には脳細胞の壊死が始まります。
しかも、脳の細胞は他の細胞と違って再生能力がないので、一度死ぬと元には戻りません。脳に深刻なダメージを受けると、命は助かったとしても重い脳障害が残る可能性があります。脳に後遺症を残さないためにも、心肺停止を確認したら一秒でも早く心肺蘇生法を実施する必要があるのです。
早期に心肺蘇生法を行うことは、傷病者の救命率を上げるだけでなく、社会復帰にも大きな役割を果たします。
倒れている人を見つけたらどうすればよい?心肺蘇生の正しい手順
救命率を上げるためにも、心肺蘇生の正しい手順を知っておきましょう。ここでは、心肺蘇生の正しい手順を解説します。
意識の確認
傷病者を発見したら、まずは意識の確認を行います。傷病者の耳元で「大丈夫ですか」と呼びかけながら、肩を軽くたたいて反応があるかをみましょう。
目を開ける、うなずく、声を出すなどの反応がない場合、あるいは判断に迷う場合は、協力者を求め、緊急通報(119番)とAEDの手配を依頼してください。傷病者に反応(意識)がある場合は、本人の訴えを聞いて必要な応急処置を行います。
呼吸の確認
次に、傷病者が正常な呼吸をしているか確認します。胸や腹部の動きを見て、10秒以内に判断してください。胸や腹部に動きがなく、呼吸音も聞こえない場合、あるいは呼吸の状態がよくわからない場合は、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始します。
なお、しゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸は、心停止が起こった直後によくみられる「死戦期呼吸」で正常な呼吸ではありません。
胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始する
心停止を確認したら、直ちに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始してください。傷病者を固い床面に上向きに寝かせて、救助者は傷病者の片側、胸のあたりで両膝をつきます。
自分の両手を上下に重ねて組み、下側の手首の盛り上がった部分(手掌基部)を傷病者の胸の真ん中にある胸骨の位置に合わせ、胸骨が床と垂直に5cmほど沈み込むように1分間に100~120回の速さで30回圧迫してください。
傷病者が小児の場合は、胸の厚さの約1/3沈み込む程度の圧迫で行います。心臓マッサージは「強く、速く、絶え間なく」続けることが大切です。周りに交代できる人がいれば、1~2分間を目安に交代しながら心臓マッサージを行いましょう。
人工呼吸を行う
人工呼吸の技術を身に付けており、人工呼吸を行う意思がある場合は、心臓マッサージを30回した後に人工呼吸を2回行ってください。気道を確保しながら、片手で傷病者の鼻をつまみ、自分の口を大きく開けて傷病者の口を覆います。1回に1秒かけて、傷病者の胸が上がるのがわかるまで息を吹き込みましょう。
心肺蘇生を続ける
胸骨圧迫(心臓マッサージ)と人工呼吸は、救急隊に引き継ぐまで、あるいは傷病者に正常な呼吸が戻るまで続けます。AEDがあれば、心肺蘇生に加えてAEDを使用しましょう。AEDは操作方法を音声で案内してくれるので、誰にでも簡単に使うことが可能です。
命を救うための最強コンビ!心肺蘇生法とAEDの相乗効果
胸骨圧迫(心臓マッサージ)に加えてAEDを使うと、救命率が上がることが統計データにより判明しています。そこで、AEDの効果や使い方について解説します。
AEDとは
AEDとは「Automated External Defibrillator」の略で、心臓がけいれんして血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え正常な動きに戻すための医療機器です。
日本語では「自動体外式除細動器」と呼ばれており、心臓がけいれん(細動)した状態を取り除くことを意味しています。心停止にいたる原因は多岐にわたりますが、最も多い原因は心室細動です。
けいれん状態の心臓は伸収縮できなくなるため、血液を送り出せなくなり、時間が経つにつれて生存率が低くなります。AEDは、心室細動を起こしている心臓を正常に戻すことができる唯一の治療方法です。そのため、心停止した傷病者は一刻も早くAEDを使うことが重要になります。
AEDは駅や公共施設、学校など、多くの人が集まる場所に設置されているので、救命処置を行う際に使用しましょう。AEDは電源を入れれば、音声などで操作方法を指示してくるので誰にでも使えます。
AEDの使い方
AEDを使用する際は、最初に電源を入れましょう。AEDの指示に従い、2枚の電極パッドを傷病者の右胸と左わき腹に貼り付けてください。AEDが自動で心電図を解析し、電気ショックが必要かどうかを判断します。
電気ショックが必要と判断した場合は、「電気ショックが必要です。体から離れてください。ショックボタンを押してください」と音声ガイダンスが流れるので指示に従って操作しましょう。
電気ショックを行った後は、すぐに胸骨圧迫を再開してください。電気ショックの必要はないと判断された場合も、胸骨圧迫を続けるようにします。なお、傷病者の呼吸や意識が戻っても、救急隊に引き継ぐまでAEDの電源は切らず、電極パッドも貼り付けたままにしておきましょう。
まとめ
心停止した傷病者を発見した場合は、一刻も早く救命処置を行うことが重要です。早期に心肺蘇生を行うことは、傷病者の命を助けるだけでなく、その後の社会復帰にも影響します。さらに、心肺蘇生に加えてAEDを使用することで救命率も大きく上がります。
コンビニや商業施設などAEDを設置している場所も年々増えているので、緊急事態に遭遇したときはためらうことなく使用しましょう。