AED(自動体外式除細動器)についての基礎知識
これからAEDのリースやレンタルを考えている方の中には、実はAEDについてよく知らないと言う方もいるのではないでしょうか。ここでは、そんな方のためにAEDの基礎知識をまとめていきます。
AEDとは?
AEDは、自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator)の略で、救命処置をする医療機器のことです。学校や駅、空港など公共の施設に設置されており、心室細動を起こしている心臓に電気ショックを与えることで正常な動きを取り戻させる機器として2004年7月から一般の方でも利用できるよう許可された製品です。
心室細動とは?
では、心室細動とはいったいどういった状態のことを指すのでしょうか。突然心肺停止に陥る原因は、多くの場合は不整脈の一種である心室細動が原因です。心臓の筋肉が痙攣を起こした状態になり、心臓から血液を送ることができなくなってしまうのです。
すると全身に酸素が運ばれなくなってしまい、その状態が5分以上続くと約半数の方が亡くなってしまと言われています。そのため、心肺停止状態から一刻でも早く正常なリズムを取り戻すための対応をしなければいけません。そこでAEDが活躍してくれるのです。
AEDの必要性とは?
突然の心室細動に効果を発揮してくれるAEDですが、まだまだ一般的には浸透していない部分も多く、AEDを知らない方も少なくありません。そんなAEDは人の命を救うために欠かせない必要性の高い機器です。
日本の国内で1年間に救急搬送された心臓に原因がある心肺停止の傷病者数は、総務省消防庁「平成29年版 救急救助の現状」により、7万5,109人にものぼります。その一方で交通事故におる死者数あ3,694人と言われています。この数から分かるように交通事故に比べて心肺停止の方の人数が圧倒的に多く、1日に換算すると200人以上が突然起きる心臓停止で救急搬送されていることになります。
また、日本では通報から救急車が現場に到着するまでの全国平均時間が8.5分とされていますが、1分ごとに7~10%救命率が下がるとされており心肺停止から5分が経過するとほぼ半数が亡くなってしまうという現状があります。そのため、できるだけ早めに心肺蘇生を行うことが重要となってくるのです。
このように1人でも多くの方の命を救うためにも、そして万が一会社や公共の施設で誰かが心肺停止に陥ってしまったときにもすぐに対応できるようAEDは必要なものであり、さらに多くの方に知られるべきものだと言えるでしょう。
AEDの導入率と適正設置
AEDは医療機関でない場所でも一般の方が利用することができる医療機器です。そんなAEDは近年取り入れる学校や駅、公共施設、商業施設が増えており一般市民が利用できる場所へのAEDの販売数は2004年で1,307台でしたが、2016年には68万8,329台となっており大幅に普及していることがわかります。
そして、AEDの設置が求められる施設としては駅・空港・長距離バスターミナル・高速道路サービスエリア・道の駅など、とくに首都部は年齢を問わず多くの方が利用することもあり1日の平均乗降数が1万人以上の駅ではAED設置が望ましいとされています。
また、旅客機、長距離列車・長距離旅客船等の長距離輸送機関も設置が推奨されており、長旅や疲労などによる心臓発作のリスクに加え、孤立して救急隊の助けが得られにくい特殊性があることから求められる場面が多いのです。
さらに、スポーツジムおよびスポーツ関連施設も対象で、スポーツ中は若い健常人でも突然死が起こる可能性が高く運動強度の高いサッカー、水泳、マラソンなどのスポーツでは心室細動の発生が多く、野球やサッカー、ラグビーなどの球技、あるいは空手などの格闘技では心臓震盪の発生が比較的多いことから必要性が高いと言われています。
ほかにも他のスポーツに比べて年齢層の高いゴルフでは、心停止発生率が高く郊外で救急車がすぐに到着できないことからAEDの設置が重要だとされているのです。
その他、利用者の多いデパート・スーパーマーケット・飲食店などを含む大規模な商業施設、アミューズメントパーク、動物園、(監視員のいる)海水浴場、スキー場、大規模入浴施設などの大型集客娯楽施設、観光施設、葬祭場。また、市役所、公民館、市民会館等の比較的規模の大きな公共施設や交番、消防署等の人口密集地域にある公共施設、学校、会社、工場、作業場などについても設置を推奨されています。
参照元:https://www.soumu.go.jp/main_content/000655371.pdf
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kyuukyuu/aed.files/aed_taisyouhyou.pdf
- AEDは突然の心肺停止に対応する一般市民が利用できる医療機器
- 1人での多くの方の命を救うために様々な場所に設置する必要がある
- AEDの設置数は年々増加傾向にある