知っておくと慌てない!AEDを利用した救命措置の手順とは
心肺蘇生やAEDの講習は、誰もが一度は受けたことがあるのではないでしょうか?しかし講習の内容を完璧に覚えている方は少なく、いざ人が倒れたときに行動できないのが現状です。そこで今回は心肺蘇生法とAEDの使い方、AEDを使用する際の注意点について解説します。講習の内容をこの記事で復習しましょう。
心肺蘇生方法
心肺蘇生の意味
心肺蘇生とは人の呼びかけに反応せず、呼吸をしていない状態であるときに、呼吸や血液の循環を促すために行う「胸骨圧迫」「気道確保」「人工呼吸」のことを指します。これに加えてAED(自動体外式除細動器)を用いて除細動、気道異物除去を行い、医療機関に受け継ぐまで市民が手当を行うことを一次救命といいます。一次救命は人の命を救ううえで欠かせないものであり、市民が電気ショックを行った場合と救急隊が電気ショックを行った場合では社会復帰の差に2倍程度の数値が出ています。
心肺蘇生方法
心肺蘇生方法の手順は以下のとおりです。
・反応の観察
反応の観察ではまず「もしもし大丈夫ですか」と声をかけ、肩を叩くなどして意識があるかどうか判断を行います。手での合図や声を発するなどの「しぐさ」がない場合は意識がないと判断し、近くにいる人に「あなたはAEDを持ってきてください」「あなたは119番通報をお願いします」と具体的にお願いをします。
・呼吸状態の観察
次に呼吸があるかどうかを確認するため、腹部と胸部を観察します。腹部と胸部に動きが見られない場合には心停止と見なし、直ちに胸骨圧迫を行います。この時10秒以上確認は行わないようにしましょう。判断が迷う場合には心停止と見なし早急に胸骨圧迫に移ります。
・胸骨圧迫
胸の真ん中にある胸骨を探し、腕を伸ばした状態で胸骨を約5cm沈み込むように圧迫します。テンポは毎分100~120回が目安です。
・気道確保
おでこを押さえながら下あごを引き上げ空気の通り道を確保する「頭部後屈あご先挙上法」によって気道確保を行う。
・人工呼吸
気道確保をした状態で、鼻をつまみ息を吹き込みます。このとき肺が上がるのを見て分かる程度まで吹き込むようにしましょう。人工呼吸は多くても2回として胸骨圧迫が10秒以上途切れないようにします。
・胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返す
胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を交互に、救急隊に引き継ぐまで繰り返します。救助者が2人以上いる場合には交互に交代しながら行うのが望ましいです。
AEDの使い方
AEDの使用方法
AEDは到着しだい直ちに使用します。AEDの使用手順は次のとおりです。
・AEDの手配
心肺蘇生法の最初でも行った通り、近くにいる誰かに助けを求め「あなたはAEDをお願いします」と指示します。
・電源を入れる
AEDが到着したらすぐに電源を入れ、AEDを起動します。
・電極パッドを貼る
電極パッドは右前胸部(右鎖骨の下)と左側胸部(脇の5~8cm下)の肌に直接貼り付けます。
・心電図解析(自動)
電極パッドを貼り付けると、傷病者から離れてくださいという指示とともに、自動的に心電図解析が始まります。
・電気ショックが必要or不必要
電気ショックが必要な場合は、自動的に充電が始まるため周囲の方に離れるようにと声をかけます。充電が完了したらショックボタンを押し、直ちに胸骨圧迫に戻ります。
AEDを使う際の注意点
傷病者が濡れている場合
AEDを利用する際に、胸が濡れている場合にはタオルや布などで胸を拭いてから電極パッドを貼るようにしましょう。AEDと一緒にあることの多いレスキューセットにも布が入っています。
金属製品
金属製のネックレスなどは電極パッドに接触しているとスパークの危険があるため、外すことが推奨されています。レスキューセットにはハサミも入っているので、取り外しが困難な場合には切って取り外します。
女性への配慮
・女性傷病者への配慮
緊急時とはいえ人前で服を脱がされるというのは、女性にとって精神的にきつい部分もあります。女性傷病者への配慮として、救助者が男性の場合は「一次救命ができる女性を探す」という方法があります。また人の壁を作り傷病者を人に見せないという配慮も有効でしょう。しかし傷病者の気持ちよりも、まず優先すべきは心肺蘇生法を直ちに行うことです。状況に応じて可能な範囲で配慮できるとよいですね。
・ブラジャーを外すべきか
「AED使用中にブラジャーを外すべきか」という問題もあります。以前は外すのが一般的でしたが、現在では金属部分と電極パッドが触れていなければスパークが発生する危険性は低いとされ、電極パッドが素肌に貼り付けられれば外さなくてもよいということになりました。
まとめ
今回は心肺蘇生法とAEDの使い方について紹介しました。緊急時にはパニックになり思うように行動できないのが人間です。定期的に心肺蘇生法やAEDの使い方を見直しイメージトレーニングをしておくことが大切です。また日頃からAEDの設置場所を知っておくと救命に役立つのではないでしょうか。
